文化・芸術

iTunes Matchについて考えてた

WWDC以来、ずっとiTunes Match(がもたらすもの)について考えてた。
これでもレコード業界の隅っこでお給料頂いてますからね。

年間$24.99(¥2,600くらい?)をAppleに支払うと、レンタルCDから取り込んだ.mp3でも「正規に購入した物と同様に」扱われる…というライセンス形態。
月額にしたら¥217程度、着うた1曲より安いじゃないか!
アンダーグラウンドで入手した「音楽」を安い費用で合法化する手段。しかも高音質AAC/DRMフリーのデータに自動でアップグレードされるおまけ付き。おぉなんて太っ腹なミュージック・ロンダリング。
でもiTunes Matchにお金を払うユーザーは、たぶん今までも「音楽にお金を払ってきた」人達だろうと思う(個人的印象)。だからこれは、彼らが(おそらく今後も絶滅しない)「音楽にお金を払わない」人の分まで“広く薄く”負担する仕組みなんじゃないかしら。根拠はないし、本当にただの印象なんだけど。
ノブレス・オブリージュ。今後も音楽業界の救世主たらん事を。

一方Appleと契約したレーベル各社にとってみると、所謂“違法データ”を一部分とはいえ収入化するルートが開通した事になる(“善良な”ユーザーが肩代わりしてくれたお金が、Appleを経由する事によって…という但し書きは付くけれど)。ハレルヤ!

逆に考えてみる。
Appleと契約しなかったレーベルには、これから先も1円すら入ってこない。ずっと違法データがネット上に流れているのを指を咥えて見ている他ない。
なるほど、これならあのSMEですら乗っかる訳だよなー。

凄い事考えついたな、というのが印象。
しかし…。
Appleはこの壮大なプランで何を得るのだろう?

iTunesがネット上の音楽(映像)流通プラットフォームとして盤石なものになれば、当然親和性の高いMac/iPad/iPhoneのシェアも高まるのだろうな、とは容易に想像できる。
でも社名からわざわざ「Computer」の文字を抜いたAppleにとって、それが重要な課題なんだろうか。

Apple社の人間が考えている「10年後の日常」ってどんな世界なんだろう。

安室奈美恵はいつの間にこんなにかっこ良くなったんだと驚く


7月30日に発売となった安室奈美恵のベストアルバム『BEST FICTION』。


特にファンという訳ではなかったのですが、たまに見かけるミュージッククリップでは、小室哲哉のプロデュースを離れてからずいぶん黒っぽい音になったなぁ程度の感想をもっておりました。

「ベスト盤だから」というかなり消極的な購入だったのですが、聴いてびっくりでした。

小室プロデュース時代とは別人のように、スタイリッシュでとても大人っぽいアーティストに出会えます。安っぽい表現ですが、“Cool!”って感じですか。


「この音を6年も前からやってたのか」という衝撃とともに、「そうか、安室奈美恵とはこういうアーティストだったんだ」と妙に納得いくものがありました。

このアルバム、このままアメリカに持っていけるんじゃなかろか?


私が買ったのはDVD付きの方ですが、迷わずこちらをお薦めします(値段もそう変わりませんし)。キレの良い彼女のダンスがフィーチャーされたビデオクリップも出色の出来です。

『GAME』の完成度が尋常ではない件

あいかわらず流行りものに疎い私ですが、周りのオヤジ(40代前半)連中が「Perfume」「Perfume」と熱に浮かされたように騒ぐので、ついに重い腰を上げて聴いてみたわけです。

これは凄い、確かに凄い。

普段は
CDを買う(ダウンロードする)→iTunesに放り込む→BPMごとにまとめたプレイリストでシャッフル
という流れで、“アルバムを通して聴く”という行為からすっかりご無沙汰している私。

…なのですが、この『GAME』に関してはその普段の行動が当てはまらない。1曲目の「ポリリズム」を聴き始めると、どうしても最後までそのまま聴いてしまうのです。
とくにタイトル曲『GAME』の格好良さはもう最高です。アイドル楽曲なんて生易しいもんじゃないぞこれは。

中田ヤスタカによるサウンドの仕掛けそのもののも猛烈よくできているのですが、歌っている彼女たちの醸し出す空気が、どうも「非・実力派宣言」をした頃の森高千里を髣髴とさせる気がします。
クレバーな女の子が、オトナの仕掛けに乗っかってアイドルをやっている感じ。
お馬鹿な子供が無理矢理やらされているわけではないところがミソですよね。パフォーマンスからは本人たちの意思めいたものすら感じます。

というわけで、最近はPerfumeの『GAME』ばかり聴いています。

ちょっと痛快…その後考え込む

アップルが怒っているらしいです。以下、CNET Japanの記事より流用。

“…アップルは文化庁の行政運営が「著作権者団体の意見のみを汲み取り、消費者、機器メーカーの立場は無視し続けている」と激しく非難。「アップルを私的録音録画小委員会から閉め出し、欠席裁判で物事も決める閉鎖的な体質を持つ文化庁の典型的な隠蔽体質を良く表している。(中略)はなから『結論ありき』の審議会運営をする著作権事務局には真摯な姿勢は微塵も感じられず、もはや公平公正な著作権行政を運営する適切な省庁とは言い難く、速やかに著作権行政を他の省庁に移管することを強く望む」(アップル)と訴えている。…”

基本的にはアップルの主張に喝采を送りたい気分です。私が注目したのは「著作権者“団体”」という表現です。アップルは著作者を非難している訳ではないということ。
アップルはiTunes storeで得た利益を、現行法の範囲で権利者にきちんと分配しているわけで、さらにデジタルオーディオプレーヤーにも保証金を上乗せするとになれば、「二重課金にあたる」という彼らの主張はある意味もっともです。いずれにしろ、支払うのは私たち消費者なんですけど。
iPodのハードディスクにコピーされている音楽データが『iTunes storeで購入したものだけ』であれば、アップルの言い分は全面的に正しいと思いますが、一概にそう言い切れないのがちょっとややこしい。友だちから借りたCDのデータが混ざってるかもしれませんし。
著作者の利益を守るために団体があるのだ、という主張もわかりますが、はたして本当にその原則に忠実に機能しているのか、真摯に著作者の権利・利益について考えているのか…については、個人的に疑問を感じています。当の団体職員の方々と実際にお付き合いしてみれば、すぐにわかることです。ここは謙虚に、ユーザーの意見に耳を傾け、自分自身がどう思われているか冷静に判断してみる良い機会と捉えてみてはいかがでしょうか。「誤解だ」というのであれば、自分たちの理念を正しく主張しなおすチャンスでもありますし。
多くの人に誤解なく真実を伝えることは難しい。だからこそ、繰り返し繰り返し平易な言葉で語り続ける努力を怠ってはいけないのだと思います。今回の件は、どうも「儲けてるんだから(自分は指一本動かさないが)分け前をよこせ」と因縁をつけているように“見える”のです。ちょっと…世の中の理解は得られにくいと思います。

アップルが単独で切り開いた(と言って良いと思います)音楽の有料配信というビジネスモデル。大多数の人は「悪いと知りつつ無断コピーするより、(それが適正な価格設定であれば)対価を支払って正規のものを手に入れたほうが良いとわかっている」現われだと思います。iTunes store以前に有料配信が成功しなかったのは、見るべき人を見なかった結果なのではないでしょうか。お金を払うのはユーザーなのですから、著作権者団体の方を向いてサービスしたって、「そりゃ失敗するよね」と思うのです。

良い仕事をしたクリエイターには正当な報酬が保証されるべき。成果物を手にしたユーザーは適正な対価を支払うべき。これはもう既に社会的コンセンサスが取れていると考えます。じゃあ何が「正当」で、いくらだったら「適正」なのか?というのが今現在、本当に議論しなくちゃいけない問題なのじゃないでしょうか。
そりゃ1円でも安い方が嬉しいのはもちろんですけど。

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